Kimono Remake

前回に引き続、着物からコートへリメイクのご紹介です。

古典的な小花柄の着物は極めて派手さは控えられ、グレー色の背景と日常に溶け込む静かな柄行です。お婆さまがご愛用されていた着物。それが3世代に渡って受け継がれる、家族の繋がりを強く感じさせられます。

前回と同じく着物の仕事をされているご依頼主より「着物を大切に思う気持ち、価値を失うことのない、最小限のハサミ入れ、現代に寄り添う」着物コートのリメイクご依頼をいただきました。


今回のリメイクは3つの変化だけで試みました。「着丈」「袖」「襟」


最小限のハサミ入れだけで行う洋服的なコートのお仕立ては、無理のない工程だからこそ生まれる着物本来の良さが何よりも失わないことを目指しています。出来上がったものは着物からかけ離れることなく、そのものの価値が引き継がれていくと感じます。

今回は小花柄に合わせて、襟のデザインを変更しました。襟巾は2㎝の細さ、立体的に膨らみを持たせたお仕立てを採用しました。着物特有の襟巾ではなくなりましたが、前打ち合わせ箇所にはほのかに着物感を残し、ぷっくり膨らむ襟は手仕事の良さと温かさを感じさせる、襟もとにチャーミングなデザインが加わりました。



袷着物のならではの楽しみ

3世代受け継がれた着物の裏側。素材の経年変化と日本の伝統色による八掛の組み合わせ。絹の光沢。色使いのレイヤードは繊細でとても美しい風景を見せてくれます。

経年劣化により八掛は真新しいものに張り替えられていました。現代でいうリペアになります。水色の配色は着物生地よりも明るくフレッシュな組み合わせ。見えない部分ではなくの「見せる」部分としての秘かな楽しみ。この八掛が着物に新鮮な印象を与えいて面白いなと思います。お洒落な人ほど敏感になる部分とも言われてます。

色合わせは着物からイメージを膨らませて、粋な着こなしのポイントになるのですね。現代の私たちは洋服のカラーコーディネートをヒントに八掛の色使いを試していくのも新発見があるかもしれません。ますます着物に興味が沸いてきます。

私はこの小花柄を古典的な日本の小花柄という感じではなくヨーロッパの田舎、牧歌的な薫りとノスタルジーを連想しました。そして、優しい印象の小花柄をあえて現代的にカジュアルなコーディネートがしたくなりました。

八掛の水色。今回は特にこの色使いが心に残り、古典と現代を行き来するような感覚が面白かった。こうしてコーディネートのヒントが生まれ、新しい発見は嬉しくなります。

箪笥で眠っていた着物から今回のようなリメイクで着物が活かされていくのはとても素敵です。さらにファッションが楽しくなりそうです!

どうぞ参考にしてみてください。


atelier rei

洋服の修理、リメイク、オーダーメイドをはじめオリジナルのウェディングドレス制作も承ります。 洋服に関することでしたら、何でもご相談ください。